今回は、私の保有銘柄でもある「日本アクア(1429)」の最新決算(2025年12月期 本決算)について解説します。
ネット上では「累進配当の導入」や「過去最高益」といったポジティブな見出しが目立ちますが、決算資料を隅々まで読むと「手放しで喜べない懸念点」も見えてきます。今回はあえて中立的な視点で、良い点と悪い点の両方をフラットに整理してみましょう。
日本アクアってどんな会社?(事業の強みと将来性)
日本アクアは、住宅や建築物向けの「ウレタン断熱材(商品名:アクアフォーム)」の施工・販売を手掛ける業界トップクラスの企業です。
最大の特徴は「現場で吹き付ける」圧倒的な断熱・気密性
一般的な断熱材(グラスウールなど)は工場で作られたマット状のものを現場で隙間に詰めていきますが、日本アクアの「アクアフォーム」は、建設現場で直接スプレーのように吹き付けて発泡させます。
これにより、柱や壁の複雑な形状にも隙間なくピッタリと密着し、家全体を魔法瓶のように包み込む高い断熱性を発揮するのが大きな強みです。
3つの事業の柱と成長エンジン
主に以下の3つの部門で事業を展開しています。
- 戸建部門(主力)
戸建て住宅向けの断熱施工。大手ビルダーからの受注が好調で、着実にシェアを拡大しています。 - 建築物部門
マンションや大型の商業・公共施設向けの断熱施工。安定した基盤を持っています。 - 防水部門
建物の寿命を延ばす防水工事。大型案件の獲得などにより、直近の決算では売上が2倍強に急拡大しており、今後の新たな収益の柱として期待されています。
「国策」の追い風を受けるテーマ株
近年、電気代の高騰や環境問題への対策として、国を挙げて住宅の省エネ化が進められています。
「2025年の省エネ基準適合義務化」や、より高い基準である「断熱等級6」「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」への関心の高まりなど、日本アクアの事業はまさに「国策の恩恵を受けるド真ん中のテーマ」と言えます。
最新の株価情報と投資指標(2026年2月13日時点)
決算発表直近の株価データも確認しておきましょう。
- 株価:879円
- 予想PER(株価収益率):約13.5倍
- 予想配当利回り:約3.98%(年間配当金予想:35円)
- 最低投資金額:87,900円(100株単位)
100株買っても10万円未満という買いやすさが魅力です。
さらに、私が普段使っているSBI証券のS株(単元未満株)を利用すれば、なんと1株800円台から購入可能です。
毎月1万円の投資予算でも、お小遣い感覚で無理なくコツコツと買い増していくことができますね。
配当利回りも約4%と高水準で、累進配当の安心感もあるため、個別高配当株のポートフォリオに組み込むには非常に魅力的な水準と言えそうです。
業績ハイライト:増収増益だが「会社予想には未達」
今回の決算は、売上・利益ともに前年を上回りました。
しかし、投資家として冷静に見るべきは「会社が期初に掲げていた目標に届かなかった(下方修正状態)」という事実です。
- 売上高:336億7,000万円(前期比 +11.3%) → 当初予想から約2.0%未達
- 営業利益:27億7,400万円(前期比 +7.7%) → 当初予想から約7.7%未達
- 経常利益:27億9,400万円(前期比 +7.3%) → 当初予想から約8.8%未達
- 最終利益:18億9,500万円(前期比 +3.0%) → 当初予想から約8.3%未達
懸念されるポイント:利益率の低下とコスト増
売上は伸びているものの、利益が計画に届かなかった背景には「コストの増加」があります。
決算短信を読み解くと、人件費や実習生関連費用の増加が利益を圧迫していることがわかります。
特に直近の第4四半期(10-12月)単体で見ると、経常利益は前年同期比でマイナスに沈んでおり、営業利益率も低下傾向にあります。
今後のコストコントロールが大きな課題です。
外部環境のリスク:住宅着工戸数の伸び悩み
断熱化の追い風がある一方で、日本アクアの主戦場である「新設住宅着工戸数」そのものは、昨今落ち込みが見られます。
同社はシェアを拡大することで売上をカバーしていますが、市場全体が縮小トレンドにあることは、中長期的なリスクとして頭に入れておく必要があります。
株主還元:累進配当の方針。しかし…
高配当株投資家にとって、累進配当制度の導入は安心材料です。原則として減配しないという会社からのメッセージであり、インカムゲインを狙う戦略には非常にマッチします。
ただ、以下の点には注意が必要です。
- 2025年12月期の配当:1株あたり35円
- 当初計画(36円)からは実質1円の減額(下方修正)
「減配」ではありませんが、業績が目標に届かなかった結果、期初に提示されていた配当予想からは引き下げられる着地となりました。
今期(2026年12月期)の配当予想も「35円」に据え置かれており、力強い増配ペースは一旦落ち着いた印象を受けます。
まとめ:投資判断はどうする?
ポジティブ要素
- 2ケタ増収を達成し、今期も16期連続の増収を見込んでいる
- 累進配当の導入により、減配リスクが大きく後退した
- 少額(1株数百円)から買いやすい
ネガティブ要素
- 利益が事前の会社予想を下回る着地となった
- 人件費等のコスト増により、利益率に低下の兆しがある
- 主力の住宅市場全体に冷え込みの懸念がある
累進配当という強力な下値支持線ができたため、長期保有前提であれば引き続きホールド(または少額での買い増し)できる銘柄だと考えています。
ただし、利益率の圧迫や目標未達といった課題も見えたため、ここから「全力買い」をするのは少しリスクがあります。
今後は四半期ごとの決算で「コスト増を吸収できているか」「利益率が改善しているか」をしっかり監視していく必要がありそうです。
※投資は自己責任でお願いいたします。実際の投資判断はご自身で行ってください。
